何かと遺族の関係を悪化させがちな相続問題ですが、不動産が含まれているとさらに問題が深刻化しやすくなります。
一般的に遺産分割協議では、遺産金額の大きさよりも「不動産が含まれているか否か」で揉め事の発生確率が高まるからです。
では、なぜ不動産が含まれていると遺産分割協議が難航しがちなのでしょうか。今回はその理由と対処法について考えます。
なぜ遺産に不動産が含まれると揉めるのか?
遺産分割協議でもめるのは、高額な遺産があるケースではありません。
遺産分割協議で揉め、調停に発展するのは遺産の金額がそれほど大きくない一般家庭です。
これは何故かというと、遺産の金額よりも「分割方法」で揉めるからなのですね。
特に不動産が含まれていると、遺産分割協議が難航しがちです。ではなぜ不動産が揉め事の原因になるかといえば、その理由は以下3点。
1.不動産は評価が難しい
不動産は一般的に価格が安定しません。
特に土地は「一物四価」といわれるほど様々な評価方法があります。
この四価とは「実勢価格」「公示価格」「路線価」「固定資産評価額」の4つです。このうち、どれを評価の基準とするかで、実際の金額は全く異なります。
また、査定を依頼する業者によっても価格が変わります。
不動産を含む遺産分割協議では、不動産を取得した相続人が、他の相続人に対して代償金を支払う必要がでてきます。
これを代償分割といい、遺産分割協議の中でも難航しがちな過程です。
簡単に言うと、不動産の評価額が高ければ、不動産を相続する人は不利になり、代償金を受け取る他の相続人が有利になります。そのため、不動産が含まれる遺産分割協議は難しいのです。
2.代償金の支払いができない場合がある
1で述べた通り、不動産を相続する相続人は、その他の相続人に代償金を支払う必要がでてきます。代償金は現金で支払う方法が一般的です。
しかし、全ての相続人が潤沢な現金資産を持っているとは限りません。
不動産は高額になりがちですから、代償金の金額も必然的に大きくなり、それがトラブルのもとになるのです。
3.そもそも誰が相続するかで揉める
不動産は現金とはちがい、「一定の割合で分割する」ことが難しい代物です。
また、共有状態で仮置きしたとしても、後々、売却益や賃貸収入の取り分で揉めることになります。
さらに、相続対象となる不動産が立地も良く、流動性が高いものであれば良いのですが、全ての不動産がそうとは限りません。
場合によっては「面倒な資産」を押し付けられたくないために、誰が引き取るかで揉めることがあるのです。
不動産の相続で揉めないためには?
このように何かと扱いが難しい不動産ですが、揉め事を回避するための方法はいくつか存在します。
まず、「評価方法に実勢価格を採用する」ということです。一般的に不動産は実勢価格で売買されるのが通例ですから、できるだけ現金に置き換えやすい実勢価格で評価します。
ただし、路線価や公示価格で評価するという内容に、相続人全員が同意していればこの限りではありません。
しかし、後々の事を考えれば実勢価格で評価しておくのが無難でしょう。不動産業者に査定を依頼し、見積もりをとりましょう。
また、複数の不動産業者に依頼した結果、査定額に開きがある場合は、平均額や中間値をとるなどの工夫も必要です。
次に、公平を期すため、中立な立場で遺産分割協議を取り仕切る専門家を立てることも大切です。
特に、相続に強い弁護士であれば、不動産の評価方法や代償金の支払いなどについて豊富な知識を有しているため、有益なアドバイスが受けられます。
遺産の中に不動産を含む相続は、相続人の間に利益相反を生みやすいため、間に入ってジャッジする専門家の存在が欠かせません。
専門家への依頼で不動産相続をクリアに
このように遺産の中に不動産を含む相続は、「評価と分配の難しさ」が原因となって、揉め事に発展しがちです。
また、なまじ金額が大きいだけに、それぞれが意見を譲らず、泥沼化してしまうことも珍しくありません。
土地や建物を含む遺産相続では、専門家である弁護士の知識・経験をフル活用して、できるだけ公平かつ納得感のある遺産分割協議を目指しましょう。
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