今回は,遺産の中に収益物件(不動産)が存在する場合に関して,相続開始後の賃料収入はどのように分けるべきかなどについてご紹介いたします。
遺産の中に,賃借人に賃貸しているアパートのような収益物件が含まれているケースは少なくありません。
収益物件ではない物件であれば,相続も比較的単純です。
しかし,収益物件の場合は相続開始後の賃料収入が問題になることが非常に多くなっています。
今回は,相続開始後の賃料収入はどのように分けるべきなのかという点についてご紹介します。
収益物件の遺産があり,賃料収入をどうしたら良いか迷っている遺族の方は,ぜひ参考にしてみてください。
遺言に明記されている場合はその人が取得できる
賃料収入が発生するアパートなどの収益物件を誰が相続するのか,遺言書に明記されている場合はその明記された人が賃料収入を得られます。
なお注意点として,遺言書が法的な効力を持っている正式な物でなかった場合は,無意味になってしまいます。
遺言書と言っても,自筆証書遺言,公正証書遺言,秘密証書遺言の3種類があるのです。
自筆証書遺言は被相続人が自筆で書いたもので,書式が正しくないケースが多くなっています。
そのため,正しいかどうかをしっかりと検証しなければ,相続人が明記されていても効力を発揮するか明言することはできません。
それにたいして,公正証書遺言と秘密証書遺言は,公証役場の公証人が作成します。
したがって,公正証書遺言と秘密証書遺言に相続人が明記されていれば,その通りに相続ができるのです。
公正証書遺言は,公証人に作成を依頼し,公証役場で保管されます。
秘密証書遺言は,ほとんど作成されることはありませんが,誰にも遺言内容を知られたくない場合に作成されます。
遺産分割を行う前はどうなる?
収益物件の賃料収入は,遺産分割の前後でも取得する人が変わってきます。
では,遺産分割を行う前と後ではどのような違いがあるのかみていきましょう。
・相続開始から遺産分割を行うまでの賃料収入
相続開始から遺産分割を行うまでの賃料収入は,遺産とは別の財産として考えられます。
それぞれの相続人が法定相続分の割合によって,賃料債権を取得できるのです。
この段階で得た賃料債権は,遺産分割協議における遡及効の影響を受けることはありません。
遡及効とは,遡って効力が生じることを意味します。
つまり,賃料債権を遡って分割,請求することはできないということになります。
このことから,相続開始から遺産分割を行うまでの賃料収入はそれぞれの相続人が取得できるもので,収益物件の所有権を得る人が取得できるものではないと言えるのです。
・遺産分割後の賃料収入
遺産分割後の賃料収入は,収益物件を相続する人が取得します。
これは,相続登記の有無に関わりません。
つまり,相続登記をする前の段階であっても,相続人が賃借人に大家として賃料を請求できるのです。
しかし,いくら相続人とはいっても賃借人は大家が誰なのかはっきりしない状態で賃料を払いたいとは思えません。
そのため,できるだけ早い段階で相続登記を行う必要があります。
相続登記を行えば,収益物件の新しいオーナーであることが明確になり,公示できるようになります。
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